という言葉は、本当にその通りだなと思います。
でも、実際に仕事をしていると、「健康より出世!」「健康より納期!」となっている方も多いのでは??
特に、エンジニアという職種は、
期限に追われて残業。
室内にこもりっきりで、太陽も浴びられない。
理由がわからないトラブルに対応するのに、メンタルと頭脳を酷使する。
という毎日を強いられるので、他の職種に比べて、身体に不調を抱えている方も多いようです。
実際、『日刊SPA!』の調査では、「早死にする職業ベスト10」の第2位に「IT企業の下請けSE」がランクインしてしまっています。
日ごろのちょっとした身体の不調を放置しておくと、後々大変なことになるかも……?
今回は、『ITエンジニアの「心の病」―技術者がとりつかれやすい30の疾患』(酒井和夫・立川秀樹、2005年、毎日コミュニケーションズ)の中から、エンジニアがなりやすい7つの病気をピックアップし、症状や予防法をご紹介します。
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①脳梗塞
仕事と脳卒中はあまり関係がないように思えますが、エンジニアの方々の生活パターンは脳卒中の原因となりうる要素を多く含んでいます。
まず、エンジニアの仕事は、長時間同じ体勢で作業をすることが多くなってしまいがち。
長い時間動かずにいると、血流が悪くなり、血がドロドロになりやすくなるため、脳卒中のリスクが高まります。
また、エンジニアは、残業のため、食事をインスタント食品などで済ませてしまうことも多く、食生活が乱れやすい傾向にあります。
さらに、忙しい生活の中では、意識的に身体を動かす時間もなく、運動不足に陥りがちです。
これらの生活習慣は、動脈硬化につながり、脳梗塞を起こしやすい血管を作ってしまいます。
その他、脳卒中のリスクは、ストレスが多いほど高くなるという研究もあり、個人にかかる責任が重いエンジニアの仕事をしている方は、注意が必要であると考えられます。
脳卒中の症状
- ろれつが回らなくなる
- 片目が見えなくなる
- 視野が半分になる
- 突然の頭痛・吐き気
- 身体半分の麻痺やしびれ
- めまい
脳卒中の予防法
- 適度な運動をする
- 脳ドッグを定期的に受診する
- 長時間同じ体勢で仕事をしない
- 塩分控えめの食事を心がける
- リラックスできる時間を確保する
- 体重をコントロールする
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②ITてんかん
IT技術者を中心に、パソコンの操作中や作業後に、突然てんかんの発作が起きるという人が増えているようです。
このような発作を「ITてんかん」と言います。
1997年にポケットモンスターのアニメを見ていて、子どもたちが発作を起こした事故がありましたが、それと同じ原因で起こると考えられています。
これは、「光過敏性発作」とも呼ばれており、人工的な強い光刺激を受けることで引き起こされます。
よく、テレビアニメのテロップで、「明るい場所でテレビから離れてみてね」と表示されていますが、あれは光過敏性発作を懸念したものです。
暗い所や画面から近い場所だと、眼に受ける刺激も大きくなるため、症状が出やすくなるということなんですね。
ITてんかんにも、これと同じことが言えるため、暗いところで画面を見ることは避け、できるだけ画面を離してパソコンを使用するといいでしょう。
ITてんかんの症状
- 失神
- 意識混濁
(光過敏性発作により痙攣や頭痛、吐き気、めまいといった症状が出るケースもあります)
ITてんかんの予防法
- 画面を離す
- 明るい場所で作業を行う
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③VDT症候群
「VDT」とは、パソコンやスマホなどの端末のことを意味します。
VDT症候群は、パソコンなどでの長時間の作業によって、目だけでなく体、心にも不調が現れる恐ろしい病気で、別名「IT眼症」「テクノストレス眼症」とも呼ばれています。
VDT症候群の症状
- 目の疲労感
- 目が乾く
- 目がかすむ
- 目が痛い
- 視力が落ちる
- 肩こり
- 腕の痛み
- 指先のしびれ
- 背中の痛み
VDT症候群の予防法
- 目とモニター画面の距離を40~70cm離す
- モニターの明るさを30~50%に下げる
- 連続作業時間が一時間を超えないようにする
- 適度なストレッチをする
- 背中を曲げず、椅子の背もたれにつける
- 目薬を使う
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④電磁波症候群(電磁波過敏症)
電磁波過敏症とは、電磁波を浴びすぎて、体が電磁波に過剰に反応してしまう疾病です。
パソコンは、携帯電話やテレビなどに比べると電磁波は弱いと言われていますが、パソコンは他の電化製品よりも長い時間、体の近くで使用するため、電磁波の影響を軽視できないと言われています。
ヨーロッパ諸国では、この病気が一般的に認知されつつあり、公的保険の対象として治療が進められています。
ただし、一方では、本当に電磁波が症状を引き起こす原因になっているのか?と疑問視する声も上がっており、症状と電磁波の因果関係について議論されているのが現状です。
普段パソコン仕事をされているエンジニアの方は、このような可能性もあるということを考えて、できる予防法は実行しておくといいかもしれません。
電磁波過敏症の症状
- 頭痛
- めまい
- 吐き気
- 皮膚症状(灼熱感・チクチクとした痛み・発疹など)
- 睡眠障害
- 筋肉痛
- 動悸
- アレルギー症状の悪化
電磁波過敏症の予防法
- 電磁波予防機器や電磁波遮断ステッカーを使う
- 必要以上にパソコンやスマホを触らない
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⑤うつ病
IT技術者の方は、うつ病になりやすいとも言われ、一説によると、エンジニアの約2割が、うつ病などの心の病を抱えているとも言われています。
IT技術者の心の健康について取り上げた以下のような本が出版されることを見ても、問題は深刻であるということが伺えます。
・田中貴世『SEのためのうつ回避マニュアル~壊れていくSE』(2008年、株式会社ピースマインド)
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これは、やはり残業や休日出勤が多く過酷な労働環境を強いられることが原因していると言われています。
また、エンジニアの方は、まじめで几帳面、責任感が強く完璧主義という性格である傾向があります。
そのため、できないことも「できます」と言ってしまい、一人で抱え込んでしまうことがストレスとなっていると考えられています。
うつ病の症状
- 落ち込んだ気持ちが2週間以上改善しない
- 集中力が落ちる
- 何をしても面白くない
- 眠れない
- 食欲がない
うつ病の予防法
- 体を動かす
- 太陽の光を浴びる
- バランスのとれた食事を摂る(肉類、牛乳、納豆、たらこは特に良い)
- 悩み事は一人で抱えこまず、誰かに相談する
- しっかり睡眠をとる
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⑥失感情言語化症
エンジニアの方は、「失感情言語化症」になりやすいという説もあります。
これは、ストレスがかかりすぎて、あるはずのストレスを感じなくなってしまうというものです。
この精神疾患になると、自分で自分の感情がわからなくなってしまったり、自分の気持ちを表現できなくなってしまったりします。
失感情言語化症の症状
- 自分の感情がわからない
- コミュニケーションがうまく取れない
- 自分の思っていることを言葉で表現できない
失感情言語化症の予防
- 睡眠をしっかりとる
- ストレス発散できる趣味の時間を作る
- 自分がリラックスできるアロマや音楽などを取り入れる
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⑦円形脱毛症
エンジニアの仕事をし始めてから、円形脱毛症が発症したという方は多いようです。
これも、やはりストレスが原因です。
軽度なものであれば、1~2ヶ月で、少しずつ髪が生え始め、自然に治りますが、根本原因であるストレスが解消されない限り、なかなか治りません。
強いストレスがかかり続ける職場で働いている方は、早めに労働環境を見直した方がいいでしょう。
円形脱毛症の症状
- 突然たくさんの髪が抜ける
- 頭皮にかゆみを感じる
- 頭皮に浮腫性の紅斑が出る
- 爪にボコボコと窪みができる
円形脱毛症の予防
- 低刺激のシャンプーを用いる
- 適度な運動をする
- バランスの良い食生活を心がける(豆腐、納豆などの大豆製品、卵は特に良い)
今回お伝えしたように、エンジニアという職種は様々な病気の脅威にさらされています。
もちろん、これらの病気になるのは、一部の方であって、全ての人に当てはまるというわけではありませんが、やはり体は大切にしたいもの。頑張りすぎは禁物です。
システムのチェックも大切ですが、少しは身体からのメッセージに少し耳を傾けて、ご自身のこともメンテナンスしてあげてくださいね。